戀のウタ
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 玄関を出て大通りに出ると今日も穏やかで暖かな日差しが降り注ぐ。
 遠くに見える海も穏やかそうで綺麗に水平線を描いていた。

 平和な風景だと思う。

 まぁ、あわや軍事転用されようかっていうアンドロイドの俺がいう台詞じゃないんだろうけど。


 頭の中にある時計でなく習慣で左手の腕時計を見るとちょうど8:00。
もうそろそろミチルが来る頃だなぁとミチルの家の方を見る。

だけどミチルらしき人影は無い。


「寝坊かなぁ。昨日遅かったし」 


 昨日の事を思い出し俺はちょっと心配になる。
 本当はもっと早くに言おうと思っていたことだけど予想外に結構深いところで巻き込んでしまったから。

 あの時、あの夕暮れの帰り道で言っておけば昨日の夜みたいな所を見られることも無くふたりだけの秘密として生活出来ただろうと思う。
 少なくとも昨日のことでミチルにも監視が付くようになったと思うし。


 でも本当は…胸の支えが取れた、と思っている。

 1番身近で大切なミチルにずっと黙っていたのは心苦しかったから。
 それにいつも真っ先に俺を助けてくれるミチルならこんな俺でも受け止めてくれると思うし心強かいと思う。

 もし何かあっても今の俺なら…俺の力を知ってるミチルの前なら『力』も使える。
 ミチルのことを守れると思う。


 そう思うとほんの少しだけ、いつもよりも景色が輝いて見えた気がした。
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