戀のウタ
アタシにとって恭介の『幼馴染』というポジションは1番重要なアイデンティティなんだと思う。
例えば「恭介に何かあれば私が助けなきゃ」「恭介よりアタシの方が強いから」「小さい頃から一緒にいるのが当たり前だから」…。
恭介と関わるほぼ全てと言っていいほどのことがアタシの判断基準になっている。
だから幼馴染じゃない立場というのが分からなくて怖い。
だって今までそんな事を考えた事がないから。想像がつかない。
その怖さがキスした恭介に「幼馴染でいたいのに」という言葉をぶつけさせたんだと思う。
その言葉を聞いた恭介の顔はすぐさま泣きそうな顔になった。
たぶん「大嫌い」よりも痛い言葉だったはず。
だけど言った後悔よりも自分の『心の安全』を優先させてたお陰でその時は安堵のようなものを感じたのは事実だ。
その代りにあの安堵の後、ずっと苦しくなったけど。
アタシは身勝手な心の重さにうんざりしながら溜息を吐いた。
電気も点けていない薄暗い自分の部屋が更に重苦しく感じて寝返りを打つ。
ベッドのスプリングがワンテンポ遅れてギシリと音を立て、その音とほぼ同時に1階からお母さんの声が聞こえた。
例えば「恭介に何かあれば私が助けなきゃ」「恭介よりアタシの方が強いから」「小さい頃から一緒にいるのが当たり前だから」…。
恭介と関わるほぼ全てと言っていいほどのことがアタシの判断基準になっている。
だから幼馴染じゃない立場というのが分からなくて怖い。
だって今までそんな事を考えた事がないから。想像がつかない。
その怖さがキスした恭介に「幼馴染でいたいのに」という言葉をぶつけさせたんだと思う。
その言葉を聞いた恭介の顔はすぐさま泣きそうな顔になった。
たぶん「大嫌い」よりも痛い言葉だったはず。
だけど言った後悔よりも自分の『心の安全』を優先させてたお陰でその時は安堵のようなものを感じたのは事実だ。
その代りにあの安堵の後、ずっと苦しくなったけど。
アタシは身勝手な心の重さにうんざりしながら溜息を吐いた。
電気も点けていない薄暗い自分の部屋が更に重苦しく感じて寝返りを打つ。
ベッドのスプリングがワンテンポ遅れてギシリと音を立て、その音とほぼ同時に1階からお母さんの声が聞こえた。