佐々木くんの隣



トコトコと歩いて柵の方へと向かう。
柵から見下ろす校庭には、小さく人が見えた。
容赦なく吹きつける風。
ビュンビュンと音を鳴らして風は吹く。

寂しい音……。

屋上に一人の私には、風の音すら寂しく、悲しく聴こえた。

ガチャン!

……誰か来た!

ぱっと振り返ると、視線の先には……またあの男。
佐々木海斗だ。

「大丈夫?ごめん、俺……気に障るようなこと、言った……かな」

追いかけてきたの?
わざわざ?
私なんか放っておけばいいのに。

「……」
「悪気はなかったんだけど……傷つけたならごめん。」

距離をとって私に頭を下げてくる佐々木くん。

謝ればいい……謝れば許してもらえる……人のそういう表面だけの言葉が嫌い。
眼帯を外して視なくたって、どうせこの人もみんなと同じ。
腹の底では私を気味悪がって、面白がって、興味本位で近づいて……傷つける対象の人間に決まってる。

「関わらないで。」

その一言だけを放ち、私はまた柵の方へとそっぽを向いた。


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