佐々木くんの隣



「……俺、昔っからこんなんでさ……人の入っちゃいけない領域にズケズケと土足で踏み込んじゃうっていうか……。無意識に、思った時に口に出ちゃって……よく人を怒らせちゃうんだ。」
「聞こえなかったの?私に関わらないで。」
「ただ俺は、キミと友達になりたいなって思っただけなんだけど……」
「他にも人がいるでしょ」
「そうだけど……」
「私は一人がいいの!一人でいたいの!半端な気持ちで近づいてこないで!!」

そうよ。
半端に近づかないで。
傷つけられるのはわかってるの。
もう、傷つきたくないの。
私の心はどんどん弱くなっていってる……。
この左眼が……真実を全て教えてきてくれた。
この世は汚い嘘ばかり。
嘘は嫌い。
大嫌いなの。

「俺は、キミと友達になりたいんだ。俺は、キミと話がしたい。」
「……どうして私なの」
「キミを見た瞬間、何故かほっとしたんだ。なんでかわらないけど……キミを見た瞬間に、キミの席の隣ってわかった時、嬉しかったんだ。」
「……なんなのそれ、意味わかんない」
「俺も。でも……安心感があった。」
「……知らない。どうでもいい。あなたの感情なんて知らない!なんなの!何を企んでるの!私を見て、ただ単にこの気味の悪い眼帯に興味が湧いただけでしょ!面白がってるんでしょ!」


いつもそう。
眼帯を付けているだけで、まるで別の生き物のように……腫れ物のように扱う。
そして近づいてきた人はみんな、私を見下していて、私を変わり者だと本心では馬鹿にしている人たちばかり。
言っていることと思っていることは真逆。
みんな嘘ばかり。
私を、騙す人ばかり。


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