佐々木くんの隣



スタスタと歩いてくるその入学早々モテ男子は、私の席の隣にストンと座った。

えっ、隣の席!?
最悪。
これ女子から恨まれるやつ。
席の位置は運いいのに、隣の人は運悪い。

「キミ、隣の席なんだぁ!俺、佐々木海斗(ささきかいと)!ヨロシクねー!」
「!?」

席に座ると突然私に挨拶をしてきたモテ男子。
私は握手を求めるその佐々木とやらの右手に睨みをきかす。
周りの空気はまたしんと静まり返り、女子はひそひそと話を始めた。

だから嫌なのよ……!

ふいっと私は佐々木くんにそっぽを向ける。
そして持参していた本を片手に、愛想悪くあきらかな無視をした。

「何の本読んでんの?俺活字苦手でさ〜よくそーゆーの読めるね!」
「……」

なんで、話しかけてくるのこの人……。

私は変わらず無反応。

「てか左眼どーしたの?怪我?大丈夫?」
「……っ」

うるさいなぁ。
喋りかけないでよ。
もっと他に話しやすい人いるでしょ。
たまたま席が隣だからって、話しかけてこないでよ。

「ねっ、名前なんていうの?仲良くしよーよ……」
「話しかけてこないで!」

私は大きな声で怒鳴ってしまった。

なんだか、癪に障るのよこの人……!
チャラついちゃってなんなの?
私のこと馬鹿にしてるの?
眼帯して、ちょっと変わった見た目だからって、興味本位で関わらないでよ!


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