眠り姫は王子に愛される
夢の中のお話
*
「湖宵ちゃんは可愛いね」
「志緒くんはかっこいいね」
合言葉のように顔を見合わせては鏡合わせのような台詞を呟く。それは魔法のように優しくて心がぽかぽかする言葉。
「ぼくは湖宵ちゃんを守る王子様になるね」
「じゃあもっとかっこよくなるんだね!」
「だから湖宵ちゃんはぼくだけのものでいてね」
「わたしは志緒くんのもの?」
「だめ?」
「ううん、だめじゃないよ」
「じゃあ約束」
「うん、約束」
小さな小指を絡ませて、2人だけの小さな約束を交わす。
お互いに叶うと信じて止まない夢物語を、2人だけの特別にして、大切な宝箱にしまうように。
繋いだ小指から伝わる高めの体温が混ざって、馴染んで、心までぽかぽか温かくして。
夢のような、魔法のような、時間の中で小さな2人は小さな世界で大きな幸せを抱えていた。
——————……
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