眠り姫は王子に愛される
どうして一般人の私が選ばれたのかは不明だが、私たちの意志に関係なく結婚することは決められていた。
簡単に言えば政略結婚。
———……でも、私は志緒を好きになってしまった。
一緒に居ることに居心地を感じるようになってしまった。
志緒が抱きしめてくれたらずっと安心して眠りにつけて、いい夢を見られる。
でも、私は好きだから全部嬉しくても、志緒にとっては政略結婚前提の感情で。
本当の意味で恋心は抱いていないかもしれない。
それなのに志緒に好きじゃなくても良いから傍に居て、なんて残酷な鎖を縛り付けることは出来ない。
志緒は優しいから私から離れられなくなってしまう。
「…ごめん、今のなし」
「え?」
志緒が優しいから勘違いしそうになる。
なんて、志緒のせいにしてしまう自分が嫌い。
ただ、私が勝手に婚約者という関係だけではなく、心から志緒のことを尊敬して恋してしまっただけ。