眠り姫は王子に愛される








「これはB、次はA、……よしっ!」



それからさらに3か月が経過した。
漸く基礎の基礎だけは理解できるようになり、問題もすらすらと解けるようになって来た頃。



「こーよーいー」

「わっ!志緒!ど、どうしたの?」

「湖宵がお休みなのに眠らず勉強してるなんて珍しいなと思って。眠くない?大丈夫?」

「だ、大丈夫!最近勉強が楽しいから…っ!」



志緒は相変わらず多忙を極めている最中。

最近は休日も研修や調査に赴いているらしく、お家に居る時間が極端に少ない。


そんな中、今日はお休みらしく、私はすっかり日課になった経営学を進めているのだけれど、志緒には未だに内緒にしているため慌てて参考書を隠した。


志緒は私の慌てぶりに一瞬視線をやった気がしたけれど、いつもの王子様然とした笑顔を見せている。


……バレていない、よね?



「湖宵、息抜きにお茶でもどう?」




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