眠り姫は王子に愛される
志緒はご機嫌そうに、手を繋いで優しくエスコートするように案内してくれる。
奥の庭園は、私が毎日見ている庭園の木の奥にあるらしく、今まで違和感なく見ていた庭園の奥に秘密基地が現れたみたいでわくわくする。
「すごーい、特別な場所?」
「湖宵はいつでも来て良いよ。ただ広いから1人で先へ進むと戻れなくなるかも」
「??どういうこと?」
志緒の不思議な言葉は、目で確かめて比喩ではなく、事実だと知る。
何と、奥に隠された庭園はバラの花道になっており、複雑に入り組んで迷路になっていた。
「ふぇ…、なにこれ…」
「この迷路の道順を正しく分かっているのは屋敷の中でも限られた人だけだから、あんまり簡単に来られないんだよね」
「志緒は分かるの?」
「勿論、湖宵ももしかしたら分かるかも」
「え、どうして?私初めて来たよ?」
首を傾げながら志緒に手を引かれてついて行く。
志緒は笑顔を浮かべて「もしかしたら、ね」と意味ありげに呟くだけ。