眠り姫は王子に愛される
お勉強も大事だけれど、今日だけは志緒と思う存分一緒に過ごす日にしたい。
このまま眠りにつくまでずっと、今日だけは。
心の中で願っていただけのことなのに、志緒は何故か全て分かっているような顔をして、当然のようにずっと私の隣に居てくれた。
翌朝
起きるといつものように志緒が隣で微笑んでくれていて、それだけで今日も幸せだと思えた。
昨日眠る瞬間まで志緒のことを見ていて、起きた瞬間も志緒から始まる。多分これってすごいこと。
まだ眠たくて起きたくない感情半分、志緒が優しく見てくれるので見つめ返したい気持ち半分。
ふにゃり、口角を緩めたまま再び目を閉じた。やっぱり眠気には勝てない。
そんな私を根気よく起こそうとする志緒が、段々と悪魔のように思えて来る。
起きる瞬間は一番嫌いで、起こそうとして来る人も嫌い。
さっきまでの幸せな気持ちは一変、表情も険しくなっていく。
「湖宵」
「…おきたくない」
「じゃあ休もっか」
「ふぇ?」
「湖宵が行きたくないなら、学校なんて行かなくても…「行く」