眠り姫は王子に愛される





いつもは根気良く起こしてくれる志緒が珍しいことを口にするので、逆に目が冴えてしまう。


パチリ、ゆっくりと瞬きをしてから、志緒を見上げると、いつもの笑顔で「おはよう」と声を掛けられた。


ゆったりとした動きで起き上がって、じっ、と開き切らない眼で志緒を見つめてみる。

でも、特に変わった様子はなく、首を傾げて私を見た。



「どうかした?」

「志緒、大丈夫?」



そっ、と額に触れてみても、熱はなさそう。

寧ろ、起きたてで体温が高い私の手の方が熱い。


いつもと違う発言の志緒が気がかりになったが、「何もないよ」とふわり、笑うので私を起こすための作戦なのかと飲み込んだ。


朝から豪華な朝食を食べて、今日も高級車に乗って学校へ登校する。

因みに今日は恐らくベンツ。
汚れなど知らない高級感漂う黒塗りに見慣れてきていることに恐ろしさを感じる。




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