眠り姫は王子に愛される





「でもね湖宵ちゃんは湖宵ちゃんのままじゃないと久住くんが悲しむよ」

「…今だけ、だよ」

「久住くんは見た目も中身も湖宵ちゃんのことしか見えてないから」

「そうだね、湖宵しか見えてない」

「し、志緒!?」



クラスメイトと話していたはずの志緒は気付けば私の隣に居て、そっと腰に腕が回されていた。

弱気に話していたこちらとしては、あまり聞かれたくない話。自分に自信が無い話を志緒が聞いたら悲しむだろうから。



「どうしたの?僕が湖宵のことが大好きだって話?」

「そんなところ。ねえ久住くん、湖宵ちゃんの自己肯定感をもっと何とかしてあげて」

「湖宵は自信が無いところも可愛いけどね」

「それは同意だけれど、このままじゃ湖宵ちゃんに逃げられるよ」



揶揄うように言うけれど、本音の色が混じっている。志緒はそのことに気付いているのだろうか。




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