眠り姫は王子に愛される
今、かなり危ないところまで来ているかもしれない。
認めたら、もう戻れないのに。
目の前で会話を繰り広げる志緒と百合ちゃん。
いつ見てもお似合いで、それこそ2人が結婚するとなれば、お互いの会社が発展するかもしれない。
愛が無いのは、私も百合ちゃんも同じなのに、どうして私は志緒の隣に居られるのだろう。
「湖宵?」
「な、何?」
「熱ある?」
「?」
「目が潤んでるから」
言われてから気付くなんて、相当深く考え込んでいたらしい。
確かに涙腺が緩んでいる感覚。きゅ、と強く目を瞑り溜め込んだ水分を逃がす。
これが何の涙かなんて、考える必要はない。