眠り姫は王子に愛される
「志緒…?」
「ん、湖宵の癒しを充電させて」
「……大変だね、私もお手伝い出来ることがあれば…」
「湖宵は何もしなくて良いから」
「…っ」
「ただ隣に居てね」
そう言い残して教室を去って行った。
やっぱり、“何もしなくて良い”んだ。
少しでも志緒の世界を知りたい。知れば助けになれるかもしれない。
何も分からなくても、勉強して、少しずつ同じ目線で見られるようになりたい。
責任感なんて重い言葉を背負うほどの覚悟はまだないけれど、庶民の私が知りたいと思うことは許されないのかな。
何もしないで志緒の傍に居て、何の意味があるんだろう…。
二度目の否定も心に大きく傷を残した。
でも、密かに勉強してるし、自由にしていいと言われたからには勝手に知っていこうと思う。
何もしなくて良いとは言われたけれど、何もするなと命令されたわけじゃない。と、心を何とか強気に持って行くことにした。