眠り姫は王子に愛される
一緒にグループを組んだ際にみんなの意見を反映させつつ、しっかりまとめてリーダーを務めてくれた心強さがあるので、勝手に頼りにしている。
隣のクラスなので顔を合わせることも授業以降なかったけれど、こうして話しかけてくれたことも嬉しかった。
だから、
「単刀直入に申し上げます。あなたは久住様の欠点ですわ」
人気の少ない場所まで来て、厳しい言葉を浴びせられることになるとは予想していなかった。
「久住様と、天瀬さんのために申し上げております。
お二人の仲がよろしいことは全校生徒に知れ渡っている事実ではございますが、その大半はそれを良く思っておりません。私もそのうちに1人です。
天瀬さんはご令嬢でもないようですし、早々に離れるべきですわ。
このご時世で政略結婚や身分差などとお思いになるかもしれませんが、こちらの世界ではまだそれが家系の繁栄のために必要とされている文化です。
婚約者という関係はまだ選べる学生のうちにお考えになった方がよろしいかと」