眠り姫は王子に愛される
ずっと残っている悩みは、きっとどうすれば解決するのかなんてとっくに知っている。
悩んでしまうのは、その行動が望んだものでは無いからだ。
でも、上手く解決する方法はほかに見当たらない。
「私は、志緒の負担にはなりたくないよ…」
小さく零した声と涙は誰に聞かれるでもなく布団に吸い込まれて行った。
きっと、志緒は私がここにいる限り、無理をしてでも帰って来てしまう。
厳しい目標を掲げたからといって折れるのは彼ではない。
明日も、朝起きると志緒が変わらぬ顔でおはようと1番に声をかけるのだろう。
私には無理をしている素振りなど一瞬たりとも見せずに。
それが私には1番辛かった。
厳しい目標に対して、愚痴や弱音を吐きたくない気持ちはわかるけれど、それでも不安な思いを抱えているはずなのに。何も言ってくれないのが辛い。
そして、私がいるせいでその厳しさをより酷な状況に変えていることがもっと辛い。
———だから、私はこの家から離れることに決めた。