眠り姫は王子に愛される
夢は所詮夢だった





それから、少しだけ覚悟するのに時間を要したけれど、私は久住家を出ることにした。


志緒は忙しそうで基本的に家にいないのと、志緒に言えば決心が鈍りそうで、御堂さんに伝えた。
とても驚いた顔をして、勿論必死に引き留められたけれど、ギリギリ揺らがず、志緒が帰ってくる前に無理矢理家を出た。


そもそも私の家はここではない。

学校をすぐに転校することは出来ないので、暫く通うことにしたけれど、とりあえず久住家を出るために最低限の荷物だけを持って実家へ戻る。


両親にも驚かれたけれど、私の心情を察してくれたのか、何も訊かずに私の好物をよくご飯に出してくれるようになった。


端から見れば明らかに釣り合っていなかった。


そしてそれを自覚して逃げ出した弱さ。
釣り合うために努力する心の強さすらない。

ただ逃げ続けるだけの行動すべてにまた嫌になって悪循環。


だから、




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