眠り姫は王子に愛される
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実家に帰って生活を再開させて早1週間。
どんな時でも睡眠第一主義で、どんな場所でも眠れたはずの身体が、1番安心するはずの実家の自分のベッドに投げ出しても眠れなくなっていることに気付いた。
体力の限界で気付けば意識を失うことはあっても、1時間足らずで目が覚める。
そして、起きる時には必ず涙を流していた。
理由は、久住家のベッドの質が良過ぎるからというわけではなく、もっと単純のこと。
———志緒が隣に居ないからだ。
最初に同居を始めたときには一緒のベッドで眠ることに恥ずかしさを覚えて躊躇していたのに。気付けば志緒の温もりがないと眠れない身体になってしまった。
その事実に気付いてまた悲しくなる。
自分から志緒のためと理由を付けて逃げ出したのに、志緒のことを好きになってしまった時点で志緒が居ないと眠ることさえ出来なくなってしまった。何ともわがままなことだ。
学校は変わらず通っているが、志緒は教室に顔を見せなくなった。会いたいけれど、自分から離れたから顔を合わせたときに非常に気まずい。
それでも、学校に来れば一方的にでも顔が見られるかと思ったのに。
顔を合わせずにいられる平穏さと裏腹に寂しさが募っていく。
無条件に甘やかしてくれていたけれど、流石にこの行動に呆れて嫌いになっているだろうか。