眠り姫は王子に愛される
「湖宵ちゃん、顔色悪いよ。大丈夫?」
「百合ちゃん…ありがとう、平気だよ」
にこり、笑いかけるといつもなら可愛いと抱きしめられるはずなのに、今日はとても心配そうな顔を見せている。
私はそんなに顔色が悪いのだろうか。
「保健室行こう?」
「寝不足なだけで保健室に行けないよ」
「湖宵ちゃんが寝不足なんて重大だよ」
心配そうな顔が徐々に泣き出しそうなほどに歪んでいく。
私の所為で悲しませていることが悲しかったけれど、どうしたら百合ちゃんがいつものように明るく笑ってくれるのか、分からない。
既に私も毎日枯れる事なく泣き続けているくらい悲しみに溺れているから。