眠り姫は王子に愛される





「久住くんが関係してるよね?」

「ううん、自業自得なの」

「湖宵ちゃんが悲しんでいる間は、きっと久住くんも悲しんでるよ」

「どうだろう、怒ってはいるかもしれないね」



勝手に家を出たこと、志緒は怒っているだろうか。
でも追いかけて来ないあたり、志緒は私に愛想を尽かしたという表れだと思っている。


元々、勝手に婚約者にして勝手に転校も同居も進められていて。全部全部志緒の方が勝手だったのに、いつの間にか生活が楽しいに塗り替わっていて。

どんな時でも隣に居てくれる志緒に甘えてばかりいた。



「……っ、」



怒った志緒を見たのは一度切り。あの時も泣いてしまったなあ。

考えてみれば、私は志緒と出会ってから泣き虫になってしまった。悲しいことに対して簡単に泣いてしまっている。


甘やかされる度にどんどん自分が弱くなっていることも離れた理由の1つだったような気がする。今となっては理由なんてどうでもいいけれど。




< 129 / 159 >

この作品をシェア

pagetop