眠り姫は王子に愛される





気付けば今も教室内で1人突然泣き出している。


百合ちゃんがそっと手を引いて教室から連れ出してくれた。近くの空き教室に入り、涙が止まらない私にハンカチを差し出してくれる。



「寂しいなら会いに行こうよ。久住くんは受け止めてくれると思うよ」

「そうなんだよね、それが嫌で私は離したの」

「え?」

「私の存在が志緒に負担をかけているって気付いたから…」



私は志緒と一緒に居続ければ弱くなっていく。

一方で志緒も私の存在が負担となり、私に時間を割く分、無茶をさせてしまっている。


私を相手にしている暇があれば少しでも将来のための勉強をできるのに。


志緒はきっと今まではもっと時間があったのだろう。

私が居なければ、ずっと私の隣に居ると言わなければ、志緒にはもっと勉強して成長する時間があった。


お互いがお互いの足を引っ張ってしまっては、どんなに好きでも一緒に居るべきではない。


いつかの織姫と彦星が一緒に居たせいで仕事をしなくなり、引き離されたように。
私たちも一緒に居ることでどんどん悪くなってしまう。




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