眠り姫は王子に愛される
突然のことだし、家までは電車に乗ればすぐなので千賀さんに連絡を入れることはせず、渋々1人学校を出る。
この学校には電車で登校する生徒はいないけれど、駅との距離は近い。高級車で登校するのも勿体ないと思うほど立地が良いのだ。
家に帰っても両親は共働きなので今は家にいないだろう。寝不足で早退なんて甘えていると思われるかな。
歩いていてふらつく感覚があるし、簡単に涙腺は緩むし、百合ちゃん曰く顔色も悪いらしいし、確かに家でゆっくりした方はいいのかもしれない。
———でも、私は今まで守られ続けていたのだと、この瞬間に知る。
「お?お嬢様はっけーん」
「え?———…っ!!」
油断というよりも無知。