眠り姫は王子に愛される
志緒に近付きたいと思って勉強を始めても、志緒のお家でお姫様の様に扱われてお世話をされても、世界が変わっただけで私の感覚は庶民のまま。
志緒の家を出て、わがままな振る舞いをしても千賀さんが毎日迎えに来てくれたのは、一度は久住家のお世話になったから、お金持ちが集うと有名な名門校に通ったから。
久住家が、志緒が、私を守ってくれていたのに何も知らずに家を出て、それが志緒のためになると信じて疑わなかった。
私が離れることの方が、目が届かないところに行く方が、面倒が増えるなんて考えもしなかった。
突然の出来事に声を出すことも出来ないまま、視界を遮られ、ドラマで見るような催眠薬を嗅がされて、瞬間にして意識を失ってしまった———…