眠り姫は王子に愛される
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目が覚めた時、地面が硬くて身体は痛かったし、思考はふわふわしていた。
無理矢理ではあるけれど折角眠れたのにやっぱり目元は潤んでいて、悲しい夢を見た記憶が朧げに残っていて体力も精神も最悪だ。
でも、痛いのは関節だけでどこにも傷はなさそうなことにだけ唯一安心した。
逃げられないように視界は遮られたままで、手も動かせない状況。暗い部屋に閉じ込められたようで時間すら不明だ。
そんな状況で冷静に考えられる自分は偉いような気がする。こんな状況になったのはそもそも自業自得だけれど。
まあ、つまり、残念なことに私は眠らされてそのまま誘拐されてしまったらしい。
薄暗い冷たい床の上で、目が覚めて割とすぐ。ぼんやりとした思考の中でも理解出来た。
恐怖がないと言えば嘘になる。
けれど、物音がない状態は ということは周りに人が居ないはず。
助けを呼べないけれど、痛い目に遭うこともないのだ。静かにしていれば、きっとバレない。