眠り姫は王子に愛される
「まだ起きてねえから、怪我させないうちに金寄越させろ」
少しずつ近付く足音と共に冷静だった思考が上手く回らなくなっていき、理解が追い付かない。しかも、未だに身体は重くて動かせない。
寝不足の所為もあって睡眠薬が想像以上に効き過ぎているみたい。
目が覚めたのに、脱出に思考が回らないどころか、逃げる気力さえも失っている。
お金が、何?
私は何かされる?
誰に連絡しようとしているの?
制服だけは立派にお嬢様。だけれど、今はもう一般人。
たったの半年しかお嬢様になれなかった。
大袈裟だと思っていた送り迎えは、ただ甘やかされていたわけではなく、こういうリスクを避けるため。
それすらも知らず、身勝手な行動を起こし、結局迷惑しかかけられない一般人。