眠り姫は王子に愛される
勝手に家を出て、婚約を解消して、元の生活に戻るだけだと思っていた。
危機管理がないから、大好きな志緒と、久住家に恩を仇で返す真似事を仕出かしている。
どうしよう。
今更そんなことを後悔してもどうしようもない。
恐怖よりも、迷惑をかけていることに悲しくなって涙が出そうになる。
それでも、浅ましい私はこんな時でも志緒が助けに来てくれるかもしれないと期待を捨てられずにいる。
見限ってくれる方が、迷惑にならないのに。
私だけが傷ついて終わるなら、綺麗に離れられるのに。
ぐるぐると、回らない思考は本能的に志緒を求めてしまう。