眠り姫は王子に愛される
助けて、………志緒っ!
ずっと頭から離れない大好きな人。迷惑をかけたくないのに、まだ夢見てしまう。
「は?さっさとやんねーと大事なお嬢様傷つけんぞって言っとけ」
ぴくり、すぐ傍で声が聞こえて思わず小さく身構える。視界が塞がれているから、触れられる距離にまで近付いていることに驚いてしまった。
「あ、起きたわ」
「、」
―――――バレた。
恐怖で声が出ないけれど、擽るような手つきで首元から顔へと指先が上がって来る。気持ち悪い。震えが止まらない。怖い。
もしかしたら、目隠しの先では刃物を突き立てられているかもしれない。怖い。
起きていることがバレたから、殺されるかもしれない。怖い。
そうじゃなくて人質なんて言って、お金を奪うかもしれない。迷惑なんてかけたくないのに。
ううん、そもそも誰に連絡しているか分からない。身代金なんて信じない可能性だってある。
最悪なパターンしか考えられなくなっていく。