眠り姫は王子に愛される
「よい!湖宵!」
ふふ、未だに鮮明に聞こえるのは想いが強い証かな。
お金持ちの世界は分からなくても、志緒への気持ちは本物で、志緒のことなら何でも知りたいと思うから。
「だいすき、しお」
動かない身体で、回らない思考で、根本的な想いはただそれだけ。
ふにゃり、小さく想いを口にしただけで優しい温度の雨が降って来て、それが誰かの涙だと理解することは無く、再び夢の世界に思考は落ちた。