眠り姫は王子に愛される





「志緒、離してぇ」

「えー」

「えー、じゃないですよ久住くん。天瀬さんとはお話があるので離してください」



天瀬さんは私の名字。


カッチリとした話し方と声で何となく先生だということが分かり、この体勢に恥ずかしくなる。


渋々志緒は離してくれたけれど、先生の方を振り向く前に「先生に惚れちゃダメだよ」という何故か釘を刺された。


振り向くと、若い男の先生。スーツは着崩していないのにホストのような色気を感じる格好良い人だと思った。



「初めまして、天瀬さん。担任の東堂です」

「あ、よろしくお願いします」



ぺこり、お辞儀をすると、向こうも物腰柔らかくお辞儀をしていて優しそうな先生で安心する。



「久住くんは教室へ戻ってください」

「湖宵が1人だと不安がってるので付き添います」

「はぁ…じゃあここで待っててください。天瀬さんは一瞬だけ職員室へ」



そう言って、目の前の扉を開いて入って行く。あ、ここは職員室だったんだ。


先生の席で軽く説明を受けて、教室に行くことに。隣には志緒も一緒。確かに不安な気持ちがゼロではなかったので、隣に居てくれることがありがたい。




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