眠り姫は王子に愛される
瞳は泣き腫らして真っ赤だけれど、決意を込めた眼差しはとても晴れ晴れとしている。
志緒を映すと、心がきゅ、と跳ねるように疼いて、笑顔になってしまう。
「湖宵は、ずっと僕だけのお姫様だよ」
なのに、更に嬉しくなるような言葉をくれるから、心はどんどん甘い音を鳴らす。
大好きが溢れて止まらない。
「ふふ、そうだったね。約束したよね」
言いながら小指を差し出す。
温かくてどこか懐かしいと感じた夢は、過去に確かにあった出来事。
すっかり忘れてしまっていたのに、志緒はずっと覚えていて、約束を果たすために私の元へ迎えに来てくれたのだ。
とっても素敵な王子様になって、眠り姫を迎えに来てくれた。
差し出した小指に、驚きながらも綺麗な指を絡ませてくれた。
「思い出したの?」
「夢が教えてくれたの。眠り姫は夢とも仲良しみたい」
へへ、と冗談交じりに行ったのに、志緒はとてもとても綺麗に嬉しそうな笑みを浮かべて、涙を一筋流しながら「ありがとう」と呟いた。
志緒の涙を見るのは初めてで私も驚いてしまう。