眠り姫は王子に愛される





「僕も湖宵が大好きだよ」



ドキリ、より一層心が大きく弾むのは、私と同じ気持ちに期待したから。

でも、志緒は再会した時からずっと、同じように王子様の優しさで私に合わせてくれていた。
今回も、私の気持ちに合わせた言葉選びをしてくれているのだろう。



「ありがとう」



ちょっぴり切ない気持ちが出て来ないように、嬉しさを笑顔に滲ませる。

なのに、



「湖宵と同じ気持ちの好きだと思うよ」

「…ふぇ?」



疑問に首を傾げたのに、角度を上手く利用されて、唇が重なった。

触れるだけなのに、とても長く時間をかけたキスは脳が融けそうなくらい甘い。



「どう?伝わった?」

「……恋愛の好きってこと?」

「そうだよ」



どうして、彼は私の心を読む様に全てを掬ってくれるの。
隠すまでもなかった切ない気持ちは簡単に吹き飛んで、初めての感覚にぐるぐると脳内が騒がしい。



「……うん、私も同じ気持ちで志緒が大好き」



でも、私の気持ちは単純で、これだけ。

願いは志緒の隣に居たいということだけ。


言葉と共に零れた笑顔の目尻から涙がまた一筋頬を伝う。

その涙を優しく拭ってくれる志緒の手を取って、指先にキスを落とす。
愛おしいと思うこの気持ちを少しでも伝えたくて、少しでも触れていたくて。


こんなに幸せな気持ちでいっぱいで溢れて胸が苦しいだなんてどうしたらいいのだろう。




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