眠り姫は王子に愛される
手にキスを落としては嬉しさから零れる笑顔を見て、志緒はまた抱きしめてくれる。
同じ気持ちだから、志緒も少しでも触れていたいと思ってくれている。
くっついた分幸せが溢れて笑顔の連鎖。
でも、幸せばかりを味わって甘やかされてはいけないことを私はしてしまった。
「あのね、志緒」
「ん?」
「勝手に、出て行ってごめんなさい。
勝手なことをしたのに私のことを守ってくれてありがとう。
私を気遣って顔を合わせないようにしてくれたり、変わらず毎日送り迎えを手配してくれたり、ありがとう。
大好きなのに、一緒に居られなくてごめんなさい…。
助けに来てくれて嬉しかったよ。
お姫様にしてくれて夢みたいな時間を過ごせて、本当に幸せ「ちょっと待って」
志緒の顔を見れて安心して泣いてしまったけれど、漸く言いたかったことを言えたのに。