眠り姫は王子に愛される





「湖宵に会いたくて今まで頑張って来たし、湖宵が居てくれるから新しい事業も順調だし、毎日湖宵に会うために帰りたくなったんだよ。
湖宵には余計な負担をかけたくないから、何もしなくて良い。ただ隣に居てくれるだけで頑張れるから。だから面倒なことは何もしなくて良い。
ここに居れば幸せに楽に生きられると、便利に扱ってくれていいから、だから離れる選択肢だけは消して」



全てが私のため…?
志緒の脳内が、心が、想像以上に私でいっぱいで、想像以上に深い愛を伝えられて、思わず涙が零れる。


でも、1つ違うの。

私は志緒のことを、久住家のことを楽に生きるための便利な道具だとは思わない。
志緒が大好きだから一緒に居たい。久住家の一員になりたい。



「私だって、志緒のこと好きだもん」

「……」

「便利に扱うとかそんな言い方しちゃダメ、嫌だ」

「待って、可愛い今すぐ結婚したい世界一可愛い奥さんって言い広めたい好きすぎる」



額に手を当てて溜息を吐くのに、台詞はこちらが恥ずかしくなるものばかりなので、矛盾がありすぎてどっちが本当か分からなくなる。


その志緒の姿に戸惑うけれど、悪いことを言ってはないはず。


ちょん、と袖を掴んで志緒の視線をこちらに向けさせると



「台詞が本当なら溜息吐かずに私のこと抱きしめて」




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