眠り姫は王子に愛される
言い終わるか否かというところで、苦しいくらいに強く抱きしめられる。
苦しいけど、嬉しい。
好きと言う気持ちが更に溢れる。
「大好きだよ、志緒」
零れそうな愛をせめて伝えようと台詞を再び呟く。
「僕も、大好き愛してる」
うん、これでちゃんと幸せ。
お互いの温度を共有しながらゆっくりと言葉を繋ぐ。
足りない時間を補うように、足りない言葉を継ぎ足すように。
「私ね、志緒の隣に居たい。志緒の隣で支えられる人になりたい。
仕事内容だって分かるようになりたいし、プライベートだけじゃなくて、いつでも何でも話し合える関係になりたい。
志緒の大変さを辛さを、何も知らずにただ笑ってるだけの人にはなりたくない」
触れている温度が安心感を与えてくれて、落ち着きと冷静を持って素直に話せる。わがままを言ってもいいんだって教えてくれたからもう勝手に逃げ出さないし諦めない。
幼い頃の約束を果たそうとしてくれる志緒を信じないはずがない。
ダメだというには理由があって、その上で私のわがままを聞いてくれるってもう分かっている。
だって、私は志緒のお姫様。