眠り姫は王子に愛される





「初めまして、天瀬(あませ) 湖宵(こよい)です。よろしくお願いします」



無事に簡単な自己紹介を終えて、促された席の隣には当然のように志緒が居た。



「全部仕組まれてるの?」

「湖宵の不安因子は取り除かないと」



席替えをするまではひとまず志緒が隣に居てくれるらしい。


友達ができるか不安だった部分に関しても、休み時間になるとクラスの人たちが興味を持って話しかけてくれたので、すぐに打ち解けられそう。


……休み時間が終わって隣を見ると、何故か志緒は決まって不機嫌だったけれど。


2学期初日ということもあり、授業なしで終わった本日。しかし、何と明日から夏休みの課題考査があるらしく、当然何も知らない私はパニック。


一応前の学校で出た夏休みの課題はこなしたものの、この学校とはレベルが違う。


話があがった途端に涙目で志緒を振り返ると、口パクで「大丈夫」と告げられた。



「志緒!どうしよう」

「湖宵なら余裕だと思うけど、帰って一緒に勉強する?」

「あ、そっか。今日から一緒に住むんだもんね。じゃあお願いします!」



格好良いだけでなく、成績も優秀だと知ったのは今日の始業式で次期生徒会長として挨拶をしていたから。


始業式なんて眠気との戦い(勝ったことはない)だと思っていたのに、志緒が壇上に上がったので初めて眠ることなく話を聞いた。




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