眠り姫は王子に愛される





登校も下校も配慮して送ってくれる志緒と千賀さんに感謝しつつ、のんびりと家に着くのを眺めていたのだけれど。



「あれ?」

「おかえりなさいませ、湖宵様」



着いた先はとても大きなお屋敷。
そういえば、坂の上に薔薇が綺麗なとても大きなお屋敷があることは聞いたことがある話。


そして、車を降りた先で待っているメイドさん。
美人なメイドさんは私の姿を見るなり綺麗な笑顔でとても嬉しそうに迎えてくれた。



「??」

「初めまして湖宵様。湖宵様のお世話をさせて頂きます、メイドの御堂と申します。」

「ここは?」

「今日から湖宵様が住まれる家ですよ」

「ここに住むの!?」



確かに今朝、志緒から一緒に暮らすと話は聞いたものの。


こんなに立派なお屋敷、自分には関係のない場所だと思っていたのに。


どう見ても、場違いさが浮き出ている。どうしよう。



「どうしよう」



心の声をそのままに隣の志緒を見上げる。彼は私の焦る様子を見ても、にこにこと「可愛いね」としか言ってくれない。違う、ヘルプミー!




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