眠り姫は王子に愛される
眠ることを邪魔されることも嫌いだけれど、難しいことを考えるのも嫌いなので、ふかふかのベッドを見ていると、眠くなってくる。
吸い込まれるように座り込み、そのまま眠りに落ちてしまった。
「……よい、こよい」
「ん…」
また誰かに揺さぶられている。
あーやだなあ。起きる瞬間は嫌いだって言っているのに。
それでも、意識を覚醒させようとする人が居れば段々と目が覚めていく。浮上しそうな微睡みの中で揺られる感覚は苛立ちが募る。
「湖宵」
はっきりと自分の名前を呼ぶのが聞こえてしまったので、仕方なく目を開ける。不機嫌な顔を隠すことなく相手を確認すると、そこには志緒の顔が。
しかし、
「どうして志緒がここに…?」
何故か志緒も一緒にベッドの中で横になって私を見つめている状況。
寝惚けていた思考が一気に冴えて来て、恥ずかしさに布団で顔を隠す。
「こら、隠れないで」
でも、同じ布団に入っているので逃げることも出来ず、志緒も顔を布団の中に潜り込ませ簡単に視線を交わすことに。