眠り姫は王子に愛される





「気絶…?」

「そう、具合悪くない?」



とても心配そうに覗き込まれた顔は端正で、近いことにまだ慣れない私はこんな状況でも照れてしまう。



「だ、大丈夫!」



それだけ答えてまた顔を覆い隠そうとすると、手を掴まれて逃げられない。


オロオロと視線を彷徨わせて、戸惑いを示すけれど、志緒も心配そうに目線を合わせるので、きゅ、と唇を噛んだ。



「こら」

「?」

「噛んじゃダメ」




そんな私の口元に可愛い色のお菓子。思わず口を開くと優しい味が広がる。



「ん、美味しいー」



志緒の心配そうな顔は消えないけれど、今は目の前のお菓子をもぐもぐ。



「良かった」



目覚める前に感じた甘い香りはこのクッキーだったらしい。アイシングされた可愛い花の形で食べるのがもったいない。一口目は見ずに食べちゃったけれど。


大人しく食べていると、心配そうな瞳はにこにこと綺麗な笑顔に変わっていき、ずっと見られていることがだんだんと恥ずかしくなってくる。



「志緒、そんなに見ないで…」

「どうして?」

「志緒の笑顔はどきどきするから…」

「何でそんなに可愛いこと言うかな…」

「ふぇ?」




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