眠り姫は王子に愛される
笑顔の志緒はやっぱり眩しくてすぐに目を逸らしてしまったけれど、一瞬だけでも素敵な笑顔を見られたし、何より声がとびきり優しかった。
「よろしくおねがい、します…!」
突然の志緒の笑顔は破壊力が強くて、心臓がばくばくして落ち着かない。顔も赤くなってしまった。だけど、お礼と同じくらい大切な言葉だから、何とかもう一度顔を見上げて目を合わせる。
ぷるぷる、震えながら何とか言い切った後、やっぱり恥ずかしくて、でも布団には逃げ込めないので、顔を志緒の胸に預けることで隠そうとする。
「聞こえなかったなあ?」
何故か突然、意地悪モードに切り替わった志緒が、即座にベッドに乗り上げて、顔を覗き込んだので、逃げることはできなくなったけれど。
「~~っ志緒、恥ずかしい…っ」
「これから毎日一緒なんだよ?」
「うぅ…」
「これくらいは慣れてもらわないとね、お姫様」
そう言って、額にキスを1つ。
今日だけでもう何度もされている感覚に一瞬で酔いそうになる。
「もう!」
「湖宵は、僕のお姫様であり婚約者なんだから」
「そ、そんなこと言われても…」
「毎日キスしてあげるね」
「え…?」
「湖宵は僕のって刻み付けるから」
言いながら、またキスを落とし始めるから。私は明日のテストのことなんてすっかり頭から抜けて、志緒との新しい生活に心臓がどきどき鳴りやまなかった。