眠り姫は王子に愛される





「湖宵ちゃんも一緒にモデルやらない?きっとブランドの幅が広がると思うの!」

「むむむ、無理だよぉ…!」



モデル体型の百合ちゃんからお世辞を言われるだけでは飽き足らず、モデルに誘われるなんて。冗談が過ぎる。


私がモデルをやってしまったら、百合ちゃんのお家の経営を潰しかねない。売り上げが落ちてしまっても、一般庶民の私はお金を持っていないので責任なんて取れないし。
ネガティブな考えばかりが頭を過って、朝から脳が疲れてきた。


起きたばかりなのに、もう眠くなってきた…。



「冗談じゃないんだけどなあ」

「百合ちゃん…っ!」



あわあわと対応に困っていると、



「白波瀬さん、湖宵を苛めるのはやめてくれる?」



お隣から救世主。


そっ、と肩に腕が回って、引き寄せられてどきどきする。志緒の香りが強くなって、安心するのに心拍数は異常なほどに跳ね上がり、顔も自分で分かるくらいに熱い。




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