眠り姫は王子に愛される





「えー、苛めてないよ!」

「冗談だとしても湖宵にモデルなんてさせないよ?」

「もーう、束縛が激しいなあ」



呆れたように百合ちゃんが首を振っている。


束縛って何のこと?
分からなくて志緒と百合ちゃんを交互に見るけれど、2人とも笑顔のままバチバチと視線での攻防戦が続いていて、答えはもらえない。


しかも、志緒の抱き寄せる力が強くなるので、志緒との距離が知らないうちに近くなりすぎて居たたまれない。


高い目線で視線を交わすので、私は視界にすら入っていないかもしれない。志緒は私を抱き寄せていることすら忘れているような。そんな些細なことに何だか悲しくなる。


私の前の席に百合ちゃん、左隣に志緒。クラスの中でも確実に目を惹きやすい2人の傍に居て、数日にして安定ポジションに。私たちの中では安定になったけれど、周囲はまだ慣れないのかとても視線を感じる。編入してからずっと、今日も変わらず。



「し、志緒!」

「ん?なあに湖宵?」

「近い、よ」

「そうかな?」

「~~意地悪!」




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