眠り姫は王子に愛される
「……どうして百合ちゃんだけ別の態度を取るの?」
「「はい?」」
「ゆ、百合ちゃんも!私と志緒とで全然態度が違うし、あの、その」
あ、どうしよう…。
言い出したものの、何だかつまらない嫉妬心を抱いて2人を困らせている気がする。じーっと頭上に感じる視線に狼狽えるしかない。
私なんかが2人の中に口をはさむ権利はないのに。
上手く言葉を繋げなくて、百合ちゃんと志緒を交互に見ながら、だんだん自信を失くしていく。
だって、絵になる2人なんだもん。喧嘩するほど仲がいいともいうし、言えないだけで本当は付き合っている可能性も…、
「「それはない」」
「…ふぇ?」
何も言っていないのに、揃って心の声を読んで否定した。驚きで腑抜けた声が出て、口を閉じたけれど、揃って否定する辺り相性も良さそうだ。
「湖宵ちゃん、私は湖宵ちゃんが大好きなんだよ。久住くんが湖宵ちゃんを一時ですら離してくれないからいつも仲が悪いだけ」
「そうだよ。僕は湖宵しか見てないし、僕の婚約者は湖宵でしょ?」
「———……うん、分かった」
「「(多分分かってない)」」