眠り姫は王子に愛される
キラキラの笑顔を振りまく王子様は、どこかで会ったような気がするけれど思い出せない。
「分からない?」
「夢の中に出てきた?」
「ははっ、夢の中ね。出て来てたら嬉しいな」
目を開いたはずなのに、知らない男の子が目の前に居るので働かない思考の中でも混乱する。
もしかしてまだ夢の中…?
「王子様?」
「湖宵の王子様だね」
「えっと…?」
「僕は久住 志緒」
「久住くん」
「志緒って呼んで」
「志緒」
「うん」
「どうしてここに居るの?」
「迎えに来たからだよ」
志緒は私の王子様と爽やかに言い切り、王子さながら迎えに来てくれたらしい。
って、全然飲み込めていないけれど。
「やっぱり夢?」
「夢じゃないよ」
「ほぇ…」
「今日から一緒に暮らすの楽しみにしてたんだから夢にしないで」