眠り姫は王子に愛される





「———…よい、こよい」

「……?」

「おはよう」

「んん…、しお…?」

「起きられる?」

「んー、まだ寝る…」



机に突っ伏したまま眠っていたところを起こすのは、早くも志緒のお仕事になっている。朝も、授業終わりも。


起こされる瞬間が一番嫌いな時間であることを志緒に伝えると、悲しそうな表情をしたものの、変わらず志緒は私を起こしにかかる。


毎日、色々な手段を駆使する彼は今回、



「もう放課後だよ」

「え!?」



優しい声で悪魔の一言を放って目を覚まさせた。


驚いた勢いのまま起き上がったので、脳がついて行かずぐわん、と揺れてじんじん痛んでぼーっとする。自分から思ったより大きな声が出たことにも体力を奪われて、寝起きなのに何故かボロボロ。



「ずっと気持ちよさそうに寝てたね」



にこにこの王子様然とした微笑みは寝起きの私には特に眩しい。


しかも今が放課後と言うのは嘘ではなく、お昼休みすら通り越して眠り続けていたらしい。今日もやってしまった…。




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