眠り姫は王子に愛される
今までの高校生活でも授業中はほとんど寝ていたので、学校が変わったところでいつも通りと言えばそうなのだけれど、ここは何度も言うように名門高校。
本来ならば入学できていないはず。
私にはないくらいの高い学力を備えていなければならない。
それを編入試験もなしにパスして、かつ学力別で分けられるクラス分けでトップクラスに入ってしまっている状況。周囲からもとんでもない天才が編入してきたと思われている。
そんなわけで、本当は一瞬たりとも寝ている暇はない。それなのに、志緒は今日もにこにこ甘やかす。
「私のこと見放さないでね!志緒が勉強教えてくれないと、」
「湖宵はやっぱり可愛いなあ」
「聞いてる??」
「僕が居ないとダメってことだよね」
うっ…、確かに私は志緒が居ないと何もできない人間かもしれない…。
志緒が居てくれたところで、全ては彼がこなすのであって、私は志緒と一緒に暮らすようになってから何もしていない。
そんなことに今更気付いてしまい、しゅん、と落ち込んでいると。
「どうして落ち込むの?」
と同じように悲しげな表情で見つめる志緒。
「私、志緒が居ないと何もできないの…」