眠り姫は王子に愛される
「それの何がダメなの?」
「えっと、」
「僕が湖宵から離れることは一生ないんだから、そんなことで落ち込まなくていいよ」
そうなのかなあ…。
何だか腑に落ちず、モヤモヤした気持ちが残る。
思っていることを上手く言葉にできず、私自身も上手く気持ちを整理できず。それでも志緒は気にしないで、と困った表情を消さないので、一旦忘れることにした。
「帰ろうか」
「うん」
いつものように私が鞄に教科書を詰める前に志緒が準備を終えていて、気付けば私の鞄を持っている。
むっ、として、せめて自分で持とうと手を伸ばしてもやんわりと制されて、代わりに手を繋がれて歩く。
あっという間にお迎えを待つ車まで到着した。
毎日違う車でお迎えに来るので正直、まだあやふやなときもある。千賀さんが立って待ってくれているので分かっているようなもの。
ところが今日は千賀さんの隣にもう1人執事さん。