眠り姫は王子に愛される





「あ、あのね、明日の予習をしてたの!」

「へえ、でもそれ千賀が居ないとダメだった?」

「うーん、1人じゃどうしても分からないところがあって…」

「湖宵の専属メイドがいるのに?」

「御堂さんは急遽キッチンに呼ばれて忙しそうだったから…」

「じゃ、僕に訊いてよ」

「志緒、お仕事だったじゃん」

「だから?」



顔を合わせて話していないのに、どんどん声音が低くなっていく志緒にどんどん怖くなっていく。後ろに感じる気配だけで仕舞には泣きそうになって顔を覆い隠した。


確かに、1人で予習もできないことは褒められたことではないけれど。
それでも、志緒が帰って来た時には褒めてほしかったのに。


訳も分からないうちに責められ怒られている状況に、何が悪いのかも分からず必死に埋めたノートを見下ろした。


しゅん、と落ち込んだまま見たノートはさっきまでの頑張りを映したように、張り切ったような文字が並んでいる。その文字を見てまた泣きそうになった。




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