眠り姫は王子に愛される
「志緒のばか…」
とうとう威圧に耐えきれなくなって、ガタッ、と思い切り立ち上がり、志緒の顔を見ないまま自分の部屋に上がって、ベッドに飛び込んだ。
といっても、いつも志緒と一緒に寝ているのですぐに上がって来るに違いない。
さっきまで我慢していた涙を構わずに流す。泣けば泣くほど、理不尽に責め立てられたことに悲しくなって負のループ。
こんなに泣いていても、馬鹿だと言ってしまっても、結局は志緒にいつもみたいに優しく抱きしめて私だけを見ていてほしい。
「うぅ…っ」
高校生にもなって、怒られたくらいで泣くなんてみっともない。
志緒に出会う前はこんなことで泣かなかったし、泣きたいとすら思わなかった。
なのに、今はどうしても堰き止められずに溢れてしまう。
暫く泣き続けていると、控えめにドアがノックされた。
「湖宵、ごめんね」
「ううん…」