眠り姫は王子に愛される
「でもやっぱり人気だね」
時間もちょうどカフェタイムということもあり、店内は満席の様子。
「ここが気になるの?」
「うん!とっても可愛いお店だなあって思ってたの!」
興味津々で目が輝くのも抑えられない。最早、眠いことや不機嫌なことなんて忘れて、目の前のカフェが気になって仕方ない。
相当気になると察した志緒はそんな私を珍しそうに見ながら甘い表情で頭を撫でる。
「じゃあまた改めて来ようか」
「でもいつも人気だし…」
「そんなの買収すればいいじゃん」
「ふぇ?」
「とりあえず今日はテイクアウトにしよっか」
さらっとお金持ちにしか出来ないことを言いのけたけれど、別に買収までしなくても良いと思うの。よく分からない仕組みだし。
「湖宵は何が良い?」
「えっと…チーズミルクティ」
「買って来るからちょっと待っててね」
店内は狭いので、志緒が1人で入って買いに行くことに。女子人気のお店に1人で堂々と入って注文できるのはなかなかすごい。
しかし志緒は気にせず颯爽と店内に足を踏み入れた。
多分普段から志緒は一目置かれていて、周囲から視線を浴びやすいからこのお店に入ってたくさんの眼差しを受けたところで変わらないのだろうけれど。
テイクアウトならそんなに待つ必要がなさそうで、レジに数人並んでいる様子を外から眺める。
と、