眠り姫は王子に愛される





心の中で助けてほしい人物としてすぐに思い浮かんだのは志緒だった。



「———どうかしたんですか?」

「は?」



考えが回らない思考の中で、手繰り寄せた願いが届いたのか、タイミングよく志緒が現れる。

声だけが後ろから降って来た状態だと、とても冷たくて背筋が凍る思いがした。



「志緒っ!」



と同時に私も眠気が飛んで、振り返って志緒を見上げる。



「お待たせ湖宵」

「んー、」



聞こえた声が気のせいだと思えるようないつも通りの優しい笑顔で、彼はストローを口元に。
受け取るより先にそのまま吸い込むと、大好きなチーズクリームが口の中でふわふわ広がる。


美味しさと志緒の笑顔で少しだけ目が冴えて来る。


志緒の笑顔につられて私もにっこり。



「で、何か用ですか?」

「チッ、男かよ」

「ナンパ目的ならお引き取り下さい」

「ハッ、お前ら兄妹なんか興味ねえわ」



と理不尽に暴言を吐いて行ってしまった。何だったんだ…、兄妹でもないし。



「湖宵大丈夫だった?」

「うん、眠かったけど平気―」

「ごめんね気付かなくて」

「並んでたんだから仕方ないよ」




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